(バカだあたし…っ何叫んでんのよ…っ自分からあたしがいることバラしてどうする…っ!)

顔を赤らめ、再び走る奈緒。


 「奈緒!!!」


自分の名前を呼ぶその声に、条件反射で立ち止まってしまった。


だってそれは、ずっと聞きたかった声だから。



 (…隼人…)



 「奈緒…だろ?さっきの…。なんで逃げるんだよ…?」


試合が終わったばかりで呼吸がしにくいのか、隼人は咳き込みながら奈緒に問いかける。


「しかもお前…オレらが戦ってたの奈緒の学校の奴らなのに…」

「…わ、わかってるよ…それよりいいの?令もしてないのに抜け出して…」

「ブザーが鳴ったんだから平気だろ…追いかけずにいられるかって話だし」

「………」


 嬉しかった。

隼人は試合終了の令をほっぽって、自分を追いかけてくれた。

いけないことだとわかってても、嬉しかった。