「さぁ号令しましょう。あ、高瀬くんは後で話があるので残ってね」
「はい」
(…なんだろう?)
隼人のことならなんでも知っていると自負していた奈緒は、先生に呼ばれるなんて何事かと気になった。
号令が終わり、生徒たちが次々と帰っていく中、教室の外で先生と隼人の様子をこっそり伺った。
「親御さんから聞いたわ…卒業式が終わったらその足で向かうんですって?」
(向かう…?どこへ?)
「荷物はオレ一人分だし、もう送ってあるので」
「そう…でも今更だけれど、どうしてわざわざ隣の市の中学校を受験したの?他のみんなは同じ中学校に通うのに…」
(……え…?)
奈緒の頭は一瞬フリーズした。
「…もともと全寮制の学校に興味あったし、集中して学びたいって思ってた英語が中心の学科があるし…あと大好きなバスケでも強いチームがあるから…。オレにとって最適な学校なんです」
全寮制…英語…バスケ…。
確かにその3つは、隼人がよく口にしていた単語だった。


