思い出の、あの場所で。






 「ほら、これ飲め!」

「…ありがとう…」


 俊はとっさに体育館の裏へ奈緒を連れてきた。

ここなら試合中ということもあり、人気が少ない。


 奈緒は俊が買ってきてくれたココアをひとくち飲み、やっと一息ついた。


「お前って案外泣き虫なんだな!いつもオレには冷たいから知らなかったぜ」

こんな時でも俊は明るく笑う。

いつもだったらイラッとくるが、今はこの明るさが支えになった。


「…泣き虫で、悪かったわね…」

「いや?泣き虫な奈緒は、それはそれで可愛いんじゃね?」

あまりにケロッと言われ、奈緒はココアを落としそうになった。

「なっ、何言ってんのよ!バカ!!」


「はは、やっと落ち着いたみたいだな!」

「………っ」


いつもの奈緒に戻そうと、俊なりに和まそうとしてくれた。

それがわかると奈緒は、何も言えなくなってしまった。


 
 「で?何がどうなってこんなんなったんだよ?」

奈緒は渋々説明することにした。