まどかと呼ばれた彼女は、色白で、隼人と同じ綺麗な黒髪。

長さは奈緒と同じ肩のあたりまでだが、奈緒と違い、サラサラなストレートだった。

目がパッチリしていて、走るたびに鈴の音が聞こえてきそうな、女の奈緒から見ても、とても可愛らしい女の子だった。



 隼人と二人でベンチに座り、親しげに話し始めた。
時折声を上げて笑いあい、楽しそうな雰囲気だった。


そんな二人を前に、奈緒は呆然と立ち尽くした。

その後ろにいた葉子は戸惑うしかなかった。




 「…あの子…隼人の彼女かな…」

奈緒がやっとの思いでポツリと呟く。

「ま、まさか!きっとマネージャーよ!これから試合だし、ただ話をし…」

「初めてだもんっ!!」

「…え…?」


唸るような奈緒の小さな叫びに、葉子は驚く。


「…初めてなんだもん…隼人が…あたし以外の女の子を呼び捨てにするなんて…」

「な、奈緒…」


「…やっと…やっと会えたのに…っ」


奈緒はその場から逃げだした。