葉子に急かされ、奈緒は唾をごくりと飲み込んだ。

そして拳を握り、隼人の方へ一歩踏み出す。



 「はや…」

「まどか!」



(…え…?)






 奈緒が隼人の名を呼ぶより早く、隼人が口を開いた。


それも奈緒には気づいておらず、奈緒とは逆方向に向かって。


女の子の名前を、口にした。



 奈緒は口を噤むしかなかった。

何が起きたのか、混乱して頭が回らなかった。





 そして、隼人のもとに女の子が駆け寄ってきた。