(隼人…背伸びたかな…どこか変わったかな…)


やがて顔を赤くしながら、隼人を想像し始めた。


一緒にいた頃はいつもケンカばかり。

離れるとわかって初めて気づいた恋心。

こんな恋する乙女っぽいことを考える自分がいたなんて、奈緒は自分のことなのに不思議でならなかった。



 そして試合会場に到着し、奈緒の緊張がマックスになった頃、ユニフォームに着替えた葉子が戻ってきた。

「ねぇ奈緒、その隼人くんって人、何中?」

葉子には隼人の名前を教えてあった。

「ふぇ!?あっ、えーっとね、確か○×中だったかな…」

「○×中!?すごい進学校じゃない!頭良いのね、隼人くんって」

「そ、そんなすごい学校だったんだ…隼人の受けたとこ…」


驚いたのは葉子より奈緒の方だった。

進学校と言われても奈緒にはピンとこないが、十分頭が良い葉子が言うならば、それほどの学校なんだろう。

隼人と離れてしまうということがショックで、どんな中学かなんて頭に入らなかった。


 そんな中学校の受験に一発で受かった隼人は、本当に頭が良いのだと実感させられる。