名取奈緒、生きてきた13年間で1番緊張する時が来た。

「ちょ、ちょっと奈緒、緊張しすぎよ?」

 今日はバスケ部の試合。
女子も男子も同じ試合会場なので、バスケ部全員でバスで向かっている。


 その中で奈緒は、応援として行くだけなのにカチンコチンに固まっていた。

「ご、ごめん葉子…。本来試合に出る葉子の方が緊張するのに…」

「いや、あんたの気持ちもわからなくはないけどね…それにあたし、本番が近付くにつれて緊張が解けていくタイプだから、今はもう全然平気」

「そ、そーなんだぁ…いいねぇ…」

言葉の通りケロッとしている葉子の横で、奈緒は喋るのも精一杯。


「奈緒…そんなに緊張するものなの?久しぶりに好きな人に会う時って…」

「そ、そりゃーもう…!!」

「あ、そうなの…;」



 奈緒は本当に緊張していた。

隼人と離れてまだ1ヶ月ちょっとしか経っていないのに、もう1年くらい過ぎたように感じてしまう。

1秒間にドキドキが3回鳴るほど、そわそわして落ち着かない。