“それに、隼人に会えるかもしれないから”
思わず言ってしまいそうになり、奈緒は口を噤んだ。
なんとなく、俊には言いづらかった。
「じゃあね、俊」
「じゃあなー!」
今度は潔く帰してくれた。
校門を出て、ふぅと一息ついた。
(…うるさくても、結構楽しいんだよね。俊はふざけた奴だけど、優しくて明るいし)
本人には言わないけど。
言ったら調子に乗って騒ぐに決まってる。
その姿を想像して、思わず頬が緩む。
(それに、美人でしっかりしてて、頼りになる葉子…)
いつも奈緒を引っ張ってくれて、本当に助けられている。
(…これで、隼人がいれば…)
小学校に入った時からの友達。
1番仲がよかった大事な友達。
そして、1番、大好きな人。
奈緒は新しい友達二人と、隼人のことを考えながら、帰路に着いた。


