俊はそれに気づかず、ぶーぶー文句を言っていた。

「葉子はノってくれるのになー」

「じゃあ葉子んとこ行けばいいでしょーが」

「葉子、今日は委員会じゃん」

「………」


正論を言われ、奈緒は思わず言い返せなくなってしまった。

「へーんだ、オレの勝ちー♪」

「う、うるさい!調子に乗るな!;」

俊とはいつもこんな感じになってしまう。

隼人や葉子みたいに、頭が良ければうまくツッコめるのに。


 「ていうか、あたし帰るから!じゃあね!」

居た堪れなくなって帰ろうとした奈緒の腕を俊がつかむ。

「待てよ奈緒!今度の試合、応援行くよな?」

「当たり前じゃん!葉子が出るし、それに…」

「?それに?」

「…なんでもないっ」