「…やっぱり、仲いいよね、あの二人♪」
奈緒と隼人のやり取りは今では恒例であり、気にする者は少ない。

だが思春期。
特に女子は恋の話が大好きで、奈緒と隼人のことも噂になっていた。

「仲はいいけど…奈緒ちゃん、知ってるのかな」
「え、何を?」

「隼人くん、わざわざ隣の市の中学校受験したんだって…。一部の人しか知らないみたいだし、奈緒ちゃん変わりないから、知ってるのかなって…」


そんなことを女子が話しているとは知らず、目の前で笑っている大事な友達との別れが近づいているなんて、奈緒は夢にも思わなかった。








 「あなた達がこの学校に通うのも、残るところあと2日となりました。明後日はいよいよ卒業式ですよ」

卒業遠足を無事に終え、どことなくがらんとした教室で、担任の先生がしみじみと言った。

小太りの50代半ばのおばさん先生。
奈緒はこの先生のほのぼのとした雰囲気が大好きだった。

そんな先生にしみじみ言われると、鼻の奥がつーんとなる。