「一人で盛り上がってな…」

冷ややかな目で俊を見つめる。

「まーひどいっ!」


 奈緒は俊みたいな人種と仲良くなったのは初めてだった。

思えばいつも、隼人にツッコまれる側だった。

自分にもこんな、隼人のような冷ややかなツッコみが出来るのだと、俊と話していると実感する。

俊には失礼かもしれないけど。


そう思うと、なんだか笑えてくる。

「ん?何笑ってんだよ奈緒」

「べっつにー」

「んだよ、つめてーな奈緒はー!」

「冷たくて結構」


言ってから、あ、と気づいた。

奈緒が“バカ隼人”と言うと、“バカで結構”と言っていた隼人。

いつの間にか、隼人の口癖が移っていた。

奈緒は今度は寂しく、笑えてきた。