「あのバカ、ギリギリまで言わないんだもん。1年の時から仲良かったのにさ」

「へーえ、罪な男だなー」

相変わらず俊はどこまで本気なのかわからない。

「でも、また会えるといいよね」

さすが頼れる葉子は、親身になって聞いてくれる。

「あ、ねぇその人さ、なんか得意なことある?部活とか!」

「得意…バスケかな。絶対バスケ部入ってるだろうし」

隼人がわざわざ受験した理由の一つだ。

「じゃあさ!バスケ部の試合とかで会えるんじゃない?」

「!!」

葉子は頭がいい。
凡才の奈緒には思いつかなかった。


「バスケ部入ろーよ!ねっ、俊も男バス!」

「オレもバスケ好きだからいーよー!」

「じゃあ決まり!いいよね、奈緒!」

「…うんっ!!」



 そうだ、試合というチャンスがあった。
性別は違うけど、部活に入っていれば堂々と見に行ける。

葉子のひらめきと思い切りの良さに感謝した。


隼人を想うと、奈緒の心はだんだん弾んできた。