それを見ていて、恥ずかしさもあって奈緒はだんだん腹が立ってきた。

「…ちょっと、いつまで笑ってるつもりよ」

自己紹介の途中だが、先生に聞こえないように小声で文句を言った。

少年はそこでやっと笑いがおさまったらしく、奈緒の方に顔を向ける。


「あー笑った。久々にこんな笑った(笑)ごめん、さっきの裏返り声がおかしくておかしくて」

馬鹿にされた気がして、奈緒はイラッときて睨む。

「失礼だよ、あんた」

「だってホントに面白かったからさー」

何を言っても反省する気のなさそうな彼に、怒りを通り越して呆れる。

「………」

「あ、オレ相楽俊(さがら しゅん)!キミは…名取奈緒だっけ」

「…そうだけど…」

渋々答えると彼はニコッと笑う。

「いーね奈緒って!呼びやすいから名前でいーよな?オレのことも俊って呼んでよ!せっかく隣なんだからさ!」

「…気が向いたらね」

「あっ、ひでー」

奈緒が冷たくあしらうと、俊はへこんだような顔をした。

「てゆーか、気安く名前で呼ぶな!」

「えー冷たいこと言うなよー」

どこまでもふざけた態度の俊に、奈緒はため息が出そうになった。