言われて気付いた……
そう言えば比奈がエレベーターの中でやり直そうって言ってきたんだ。
でも俺はそれを断った。
周が―――好きだから。
周は俺を抱きしめる腕に力を込めた。ぎゅっと抱き寄せられて周の香りを体いっぱいに感じる。
「あの女狐の匂いなんてさせやがって。お前の香りは俺様の香水だけでいい」
もしかして……周、比奈に嫉妬してる?
しかも…なんかそれマーキングみたい…
思いながらもそれが少し嬉しかったり。
俺相当ヤバいな。
相当、周にイカれてる。
ちょっと前の俺なら「何わけわかんねーこと言ってやがる!」って怒鳴り散らしていただろうけど。
「比奈のことは今はなんとも思ってない。この香水も偶然ついたものだ」
言い訳?みたいなことを言って、それでも俺は慌てて周を押しのけた。
「とりあえず、今は会社戻らなきゃ」
「行くな」
いつになく周はしつこい(?)何か俺を会社に行かせたくないみたいな…
単に比奈に嫉妬してる…だけには見えなかった。
もっと切羽詰った……そんな事情があるみたいだ。
「でも大切なものなんだよ。とりあえず離せ」俺が腕を振り払おうとすると、周のスーツのズボンにぶつかり、ポケットから何かが落ちた。



