聞いたら教えてくれるけど、
「何?俺様にぞっこんLOVEだな」なんてまたわけの分からないことをほざきやがるから、
あまり深く突っ込んでは聞かないことにした。
でも―――
住んでるところは高級マンションだし、着てるスーツも上品で仕立てがいい。
経営はうまくいってるんだな。
そう思うしかなかった。
それから一ヶ月経った、そんなある日のことだった―――
休憩時間に食堂でコーヒーを飲んでいると、偶然近くに居合わせた比奈と同期の塩田さんに声を掛けられた。
「え?金曜日に食事…?」
目を開いて聞き返すと、
「うん♪今週の。どうかなぁ」
と塩田さんは甘えるような口調で上目遣いで聞いていた。
「それは…みんなで飲み会ってこと?」聞いてみると、
「ううん。二人で……」
そう言って塩田さんは恥ずかしそうに目を伏せる。
これはもしやデートのお誘い??
いやいや、だって塩田さんて比奈と仲良かったんだぜ?
いくら別れたからって、比奈の友達と仲良くするのはどうなのか……と。
ちょっと考え込むと、塩田さんは恥ずかしそうに俺に顔を寄せて、そっと耳打ちしてきた。
「あたし本当はずっと前から主任のことが好きだったの。
でも主任は比奈の彼氏だし一旦は諦めたけど、でも別れたって聞いてこれはチャンスかな、って思って」