- π PI -【BL】



ケータイには比奈の写真が残ってる?


そんなのもうどーだっていいよ。


どのみち俺にはロックが解除できない。


友人のアドレスやナンバーなんて、どうにでもなる。


俺はケータイを諦めて、


比奈への想いを……ケータイを―――捨てた。



――――

――


それから三日は何事もなく平穏に過ぎていった。


新しいケータイはまだ買ってないけど、誰かと喋る気にもなれなかったし、丁度良かったんだ。


案外…ケータイがなくても過ごせるもんだな。


俺はそんな新しい発見をした。


週末―――、俺は前から通っていたスポーツジムに足を運んだ。


ジャージ姿で首からタオルを下げ、ひたすらにウォーキングマシンで足を動かせていると、フロアの隅で若い女の人二人が俺を見てひそひそと喋っていた。


何だろう…そう思って視線を投げかけると、彼女たちは恥ずかしそうに目を逸らしたがすぐに顔を戻して、はにかみながらもちょっと笑った。





俺、何か変??もしかしてジャージに穴でもあいてるとか??


慌てて自分の身なりを眺め回していると、


「あの…」と女の人たちが遠慮がちに俺に声を掛けてきた。


「……は、はい」俺はマシンのスイッチを止めて彼女らを見ると、


「会員の人ですか?あの…良かったらケータイのナンバー教えていただけませんか?」


と、恥ずかしそうに俯いてそれでも懸命に言葉を搾り出した。