びっくりして息を呑むと、それは狼のぬいぐるみだった。
指人形みたいで、狼の手がちょっと動いている。
俺の隣では周が寝転んだまま手に狼の指人形をはめて、それを動かせていた。
こっちも昨日着ていた白地に青のストライプのワイシャツ姿。
ノーネクタイで多少襟元のボタンは外れているが、いたって乱れたところは見られない。
「あの―――……朝から何してんスか?」
こいつの行動って大抵意味不明だけど、今日は一段と拍車がかかってるな。
って言うか…朝だよな……?
『まだ夜明け前だ。お前が酔っ払って眠りこけちまうから俺は寂しく一人さ』
と狼がちょっと項垂れる。
ってか腹話術、うまいな……
なんて妙なところで感心していると、
『お前を食ってやる』と狼が突如俺の顔に襲い掛かってきた。
「…こっちは二日酔いで辛いんだ。やめてくれ」
うんざりしたようにそれを払うと、周はちょっと考えるように首を傾け、
「ああ、お前のも用意してあるぜ?」と言って反対側の手からまたもにゅっとヒツジのぬいぐるみを取り出した。
白くてふわふわした胴体に、丸い目が特徴的な可愛い(?)ぬいぐるみだった。
「昨日見つけたんだ。お前にそっくりだったから思わず即買した」なんて言いだしやがった。
朝からホント意味不明……
「人形遊びなら一人でやってくれ。俺にはそんな趣味ないんでね」
そっけなく言って顔を逸らすと、周はちょっと考えるようにぬいぐるみを見渡し、
やがてはぽいっとそれを放った。
「ならこっちの方がいいか?」
ギシ
ベッドのスプリングが軋んで、周の香りを感じる暇もなくこいつはいきなり俺にキスをしてきた。



