「いえ、それだけは遠慮しまス」俺はきっぱりと言い返した。
「何でだよ、金持ってんし顔だって申し分ないぜ?退屈にはさせねぇよ」
いえ……あなた…根本的に間違ってます…
「あんたの考えは分かったけど、俺には俺の世界がある。あんたオトコだろ。俺はそっちの趣味はねぇの」
俺をあんたの世界に巻き込むんじゃねぇ!
そう言って睨むと、
「その考えがつまらねぇって言ってんだ。男と女しか恋愛できねえっていう定理は誰が決めたよ」
と、周は眉間に皺を寄せ、いつになく真剣に俺を見据えてきた。
その真面目な表情に一瞬、ドキリと心臓が跳ね上がる。
「いえ…誰がって……それはその…」
またも俺が口ごもると、
「あ?言ってみろよ」と低く囁いて、周は切れ長の目を細め、俺の顎に手をかけた。
や…ヤバい……その角度…ちょっと色っぽいんだって!
俺は慌てて顔を逸らすと、
「知らねぇよ!」そう怒鳴りながらビールを煽った。
何なんだよ!
ありえねぇって!
俺はオトコで周もオトコだ。
それなのに―――俺は不覚にも……
一瞬だけ恋に堕ちそうになってしまった。



