- π PI -【BL】



「いえ、それだけは遠慮しまス」俺はきっぱりと言い返した。


「何でだよ、金持ってんし顔だって申し分ないぜ?退屈にはさせねぇよ」


いえ……あなた…根本的に間違ってます…




「あんたの考えは分かったけど、俺には俺の世界がある。あんたオトコだろ。俺はそっちの趣味はねぇの」


俺をあんたの世界に巻き込むんじゃねぇ!


そう言って睨むと、


「その考えがつまらねぇって言ってんだ。男と女しか恋愛できねえっていう定理は誰が決めたよ」


と、周は眉間に皺を寄せ、いつになく真剣に俺を見据えてきた。


その真面目な表情に一瞬、ドキリと心臓が跳ね上がる。


「いえ…誰がって……それはその…」


またも俺が口ごもると、


「あ?言ってみろよ」と低く囁いて、周は切れ長の目を細め、俺の顎に手をかけた。


や…ヤバい……その角度…ちょっと色っぽいんだって!


俺は慌てて顔を逸らすと、


「知らねぇよ!」そう怒鳴りながらビールを煽った。





何なんだよ!


ありえねぇって!



俺はオトコで周もオトコだ。



それなのに―――俺は不覚にも……






一瞬だけ恋に堕ちそうになってしまった。