- π PI -【BL】


「それにしても比奈?あいつ金掛かりそうな女だな。着てるものもブランドっぽかったし、お前貢いでたのか?」


急に話を変えられ、俺は面食らった。


比奈の話はしたくないけど……でも、何故だかこいつの前で俺の口はよく動く。


「服やバッグをプレゼントしたことはほとんどない。まぁ誕生日とかは別だけど。幾ら俺でも金づるにされてたら、別れてるって」


比奈は……俺にほとんど何かをねだってきたことはない。


「お互い少ない給料でやりくりしてるわけだし、無理しなくていいよ。欲しいものは自分で買うし」と言う、彼女のそんな気遣いが嬉しかった。


比奈はつつましくて心優しい女だったのだ。だから今日みたいな反応に、俺はどうすればいいのか分からなかった。


それを話すと、


「ふぅん」と周は口元を歪めて、それでもすぐにちょっとにやりと笑うと、


「俺は結構儲けているからな。お前が欲しいって言うものを与えてやるぞ?」なんて言いだしやがった。


この顔でこんな台詞をさらりと言われれば、普通の女だったらイチコロだろうな。


だけど生憎俺はオトコだ。




当面、俺が欲しいもの……それは…


「あんたと関わりのない日常」


言って、俺はため息を吐いた。


「それか恋人……。合コンでもセッティングしてくれ」


そう呟くと、


「女なんてやめておけ?どうせ比奈のことが忘れられないんだから」なんてさらりと言われた。


当たってる……だけに何も言い返せない。


どょんと落ち込んでいると、肩を叩かれた。





「そう気落ちするなよ。


よし、決めた!今日から俺様がお前の恋人になってやる!」