バタン!!



俺は勢い良くマンションの扉を閉めて、部屋を飛び出た。


いかにも高そうな…俺の安アパートとは雲泥の差の綺麗なマンションを後にして俺はその建物を見上げた。


ホストクラブの経営は随分うまくいってるようだ。


平々凡々と暮らしてきた俺には到底手にでないような…





『そりゃお前、無難過ぎるワ』





男の声が鮮明に蘇り、俺は目を開いた。


無難で何が悪いってんだよ!


もう一度マンションを見上げると、


その上には高々と太陽が昇っていた。


空気は澄んでいて、爽やか過ぎるほどの朝だ。




サンサンと降り注ぐ太陽の光に目を庇いながら―――





これが俺と―――あの悪魔みたいな意味不明男との



はじまりの朝だったことを知るのは―――





もっと後のこと。