感動も感慨も全てどこかに置き去りにして、結婚したという事実だけが今ここにあった。


おかしいぞ…。


結婚ってもっとウキウキワクワクドキドキするものなんじゃないだろうか…?


少なくとも、こんな風に何かに追い立てられて急かされながら事を進めるものではないと思う。


時間を惜しんで汗だくになりながら、役所に婚姻届を持って駆け込むのだけは絶対に違うと思う。


婚姻届提出レースじゃないんだぞ!!!

これじゃ入籍の感動に浸るヒマもありゃしない!


そうフテ腐れてみても、既に入籍してしまったのだからもう遅い。


ちくしょうめ!こうなったのは全て颯真のせいだ。


颯真が私のチープでフザけた夢を叶えてやろうなんて余計な気を起こしやがったからだ。


なんて有り難迷惑なサプライズなんだ!


そう思うと、あんな夢を軽い気持ちで書いてしまった自分が憎い。


今すぐあの卒業文集を破り捨てて無かった事にしたいと思ってしまう。


今頃後悔してももう遅いのだけれど…。