「また原っぱに行ったのね? ほら枯れ葉をこんなにくっつけて。シュリがよく許しましたね?」
「タロウに来てもらったから」
「あらあら。それではシュリも大変ね。次は私とシュリと三人で行きましょう?」
「シュリも? セーラがいれば十分だよ」
 ソファに腰を下ろすとその隣にセーラも座った。
微笑んだときにできる二重あごがお母さんにそっくりだ。
まるい手がトゲトゲした気持ちを落ち着けてくれる。
「私はそのように言ってもらえて大変嬉しいですわ。でももしもあなたに何かあったら悲しくて涙がとまらなくなってしまうでしょうね。ディーン・・・タロウも強いけどシュリがいた方が安心だわ」
「でも」
「シュリはとても優しい人よ。もう少し心を許してもいいかもしれないわ」
 セーラはそう言うと沢山の洗濯物を抱え部屋を出て行った。「優しい人」確かにそうかもしれない。けれども思い浮かぶのは怒った顔ばかりだ。まあじっとしていない私がいけないのだろうけど。
 体を倒し、クッションに顔をうずめる。クッションからは自分の家とはまるで違う、他所(よそ)の家の匂いがした。セーラやタロウが構ってくれても寂しさは拭えない。いつまでここにいればいいのだろう。もしかしたら二度と家には帰れないかもしれない。
 また悲しくなってくる。
 昔はこんなに感傷的になることなんてなかったのに。