紅憐鬼



京華はまた刀に力を入れようとしたらしいが、何を思ったのか刀を鞘に戻した。


「京華……?」


いったいどうしたというのか。


呼び掛けるとギロリ、そんな効果音がまさしくぴったりくるような眼で睨まれた。


そんな整った顔で睨むな。意外に怖えんだよ。


そう思いつつ京華を見ると

「………っ!」


彼女は何かに弾かれたように眼を見開いた。


そして俯き眼を伏せた。


「………?」


「…………………。」


それきり、反応もなくなり沈黙が流れた。



「どうしたんだ?京華のやつ。」


「動かなくなったな。」


「…………。」


「京華………?」


怪しく思い、俺は京華に近づき頬に触れた。


「………どうした?」


彼女の顔を覗き込もうとしたその瞬間、俺の目の前に走る白銀の光。


それを体を仰け反らせてなんとかよける。


京華が再び刀を抜いていたのだ。



間髪入れず迫る攻撃。



ちぃっ!



「おい、京華!?」


攻撃を受けながら問いかけるが返答はない。

ただはっきりと分かるのは、先程までの京華ではないということだ。
紅い瞳は虚ろになり、何も、意思も生気さえ感じられない。だが、京華は刀を持ち、俺……いや、俺たちを殺そうと襲いかかってくる。


その様はまるで操り人形のようだった。



俺の様子に本気でまずいと感じたのか、傍観していた左之と新八は刀を抜刀し、同じく山崎も臨戦態勢に入った。



普通なら女相手に4人がかりかと思うだろうがこいつ相手じゃたぶん……。