ー歳将sideー


ーオフィスー


「近藤、土方まいりました。」


オフィスの最上階にある上のお偉いさんの部屋の前で近藤さんはノックをし声をかけ、部屋に入る。

俺もそれに続いた。


「来たか。」



「遅くなり申し訳ありません。」


近藤さんは軽く頭を下げて、男に歩み寄った。


俺は一歩下がって様子を伺う。


「それで、用件とは?」


「……紅憐鬼。」



「は………?」



「いや、染羅木懍華といったのだったか?」

そう言って僅かに鼻で笑う男を見て俺は思わずピクッと一瞬顔を歪めた。

近藤さんは背中で俺のそのわずかな変化を感じていただろう。



「……お前たちも聞いたことはあるのではないか?伝説ではあるがな。」



「はい。……それがなにか?」




「そいつを、お前達の仲間に引き入れろ。」



「………?」



「平成の紅憐鬼の二つ名をもつ女、今おまえたちが監視している染羅木京華のことだ。」



「「…………。」」


こいつ……。

何のつもりだ??



いや、京華を新選組に連れ戻す絶好の機会ではあるから助かるには助かるんだが。