―京華side―
カツカツ……
学校からオフィスに向かって歩く。
……。
私は死ねない。
自分の意思では死ねない。
殺し屋に成り立ての頃何度か死のうとしたこともあったけどダメだった。
何かの暗示。
死のうとする度に私の中の何かがストッパーになる。
『『待て。死ぬな。』』
『いつか会える。いつか必ず会えるから絶対死ぬな。』
『あいつなら、あいつらならきっと見つけてくれる。だから耐えろ。死ぬな。』
2つの声が私を抑える。私の身体を支配する。刃物を心臓に突き立てようとしたり、人気のない廃棄ビルの屋上から飛び降りようとしたり、死ぬための行動を起こそうとすると身体が動けなくなって死ねない。
誰に会えるのか?誰が見つけてくれるのか?なんで動けなくなるのか?この2つの声は誰なのか?
最初はいろんな疑問があったけど待ってみようと思った。誰に会えるのか。
でも、時が経つにつれてそれは次第に重荷でしかなくなった。
待っても待っても誰にも会えない。誰も彼も離れていくだけ。
どんなに死にたいと願っても死なせてくれない。