紅憐鬼



そう伝えられる歴史がある。





私も最初は信じてた。


この歴史のように


いつか私にも……。




゙心゙が欲しかったわけじゃない。゙感情゙が欲しかったわけでもない。


どちらも私には不要なものだから。


だけど、居場所が欲しかった。



私を恐れないで認めてくれる誰かが欲しかった。





けれど、もう諦めた。



やっぱりあれは、歴史上での作り話だから。


だから、私は……。



゙心゙も捨てた。゙感情゙も捨てた。たった一つの゙願い゙も捨てた。



あるのは、ただ命令のために殺しをこなす、何人にも負けない強さのみーー……。