「…………。」
地下で窓がなく、光が入らない暗い部屋に、テレビから流れる音だけが響く。
…………。
ふとテレビに目を向けると、ある男がニュースに取り上げられていた。
収賄、女遊び、悪い噂しか聞かない国会議員。
上に言わせれば国の汚点なのだろう。
愚かだ。
こいつ………。死ぬな。
そのうち、命令が下るだろう。
誰が相手だろうと知ったことじゃないけど。
そんなことを思いながら、私は目を閉じた。
ーーーーー………。
「………ん………。」
私、寝ちゃってたのか…。
時刻を見るとすでに21:00を示していた。
〜〜〜♪〜〜〜♪
携帯の着信音が部屋に鳴り響く。
………。
この着信音は私を殺し屋にする音。
染羅木京華から紅憐鬼に変える音。
…………。
「はぁ……。」
思わずため息をついた。
ベッドから降りて、帰宅時に放り投げたままの鞄から携帯を取り出す。
指令はよっぽど重要でない限り電話かメールだ。
『指令』と題されたメールには、ターゲットとして、先程テレビで取り上げられていた国会議員の名前と場所が書かれ、顔写真が添付されていた。
………意外に早かったな。
私は携帯をそのままベッドに放り投げると、クローゼットから仕事着を取り出して着替えた。
髪を結って左腰に刀を差す。
その他にも苦無などが入った飛道具入れを腰につけるなど準備を進める。
準備完了。
玄関に向かい、気持ち悪いほど監視の気配が充満している部屋を睨み部屋を出た。