紅憐鬼


「それじゃあ、名前呼んだら入ってきてくれ。沖田。」

「………はい。」

そんなお決まりの自己紹介手順なんてどうでもいいよ。

僕は早く彼女の姿を確認したい。確認しなくちゃいけないんだから早く……!

そう思ったけど転校早々印象を悪くしたくないので 早る気持ちを押さえて にこりと笑って了承した。


担任が先に教室へ入り、生徒に一言二言話してから僕を呼んだ。

「沖田、入ってこい」

僕は教室に足を踏み入れた。

そのとたん、女子から悲鳴があがった。

とてつもなくうざかったけど、そんなことより大事なことがある。

教壇の横まで行き、生徒達に向きなおり、教室を見渡した。

すると、すぐに目に入った。