紅憐鬼

「いろいろうるさくて。濃いお茶にしろだの、熱いお茶にしろだの、入れ方がどうだのと。だいたい自分が気に入ったお茶しか飲まないってどうなの。あれ、かなり失礼。あんたは、どっかのお偉方かっての!」

何度お茶をぶっかけてやりたくなったか……!とか拳をふるふるさせながら言ってやがる。

てか、実際お茶ぶっかけただろ。おまえ。


「お茶の濃さとか熱さは重要なんだよ。薄いとか温いとか、んなんお茶じゃねぇっ!」


「はぁ?お茶を一番美味しく飲むには少し温めのお湯がいいって知らないの?」


「はっ!知らねぇよ。んなもん。俺は熱いのが好みだから熱いのを飲む。それだけだ。」




「周りが見えないというか、他人の意見に耳を貸さない俺様バカ。」


……てか、俺、こいつと本当に恋仲だったのか?

そう疑いたくなるような言われようだ。


恋仲の相手にこんなボロクソ言うか?普通。


いや、その辺に関しては、懍華が普通の神経してねぇのは十分理解してるつもりなんだが。


「なんでお茶の好みに文句言われなきゃなんねぇんだよ。」


「そりゃぁね。歳が自分で入れてる分には文句なんて言わないよ。ただ人が入れたお茶に文句言うから腹がたつだけ。」



「お前がなかなか俺好みの茶を入れらんないのが悪いんだよ。」


「それが自己中だって言うの!」


「知るか。これが俺だ。」


「あ゛ぁ゛ぁ゛ー、もう!なんだっって、こんな自己中俺様馬鹿野郎好きになっちゃったんだろう。我ながら信じられない。」


「悪かったな。自己中俺様で。てか、懍華、てめぇ。今さりげに馬鹿野郎っつったな?俺様自己中馬鹿野郎っつったよな?」


「え?言ってないよ?歳の耳おじいちゃんみたいに聞こえなくなっちゃったんじゃないの?」



こいつ……。


男だったらてか、懍華じゃなかったらぜってぇ殴ってるぞ?俺。


「あ、こんなことやってる場合じゃなかった。歳!あんま時間ないから手短に済ませるよ。」


いや、それ 絶対お前のせいだろ。

俺が何を思っているのか分かったのか、まぁ、気にしない気にしない、とか言ってる。

そして、クスクスと笑い、ふいに真剣な顔をして、

「歳。『私』のことお願いね?』


「は……?」


「今は、歳将として京華のことお願いね?」


「………。」


頼まれなくたって、そのつもりだが……。


 
「私と歳三が恋仲だったとかそういうの抜きでみんなで京華の傍にいてあげて。そうしたらきっと大丈夫だから。ね?」


「なんでそんなこと言えんだよ。」