* * * * *
あれから数年の年月が過ぎて行った。
彼が消えて行ったあと、城は酷い有様だった。
壁には深い亀裂が入り、窓も粉々…。
なんの力も持たなくなってしまった私は何もできず、シーラがすべて直してくれた。
少しだけ申し訳ない気持ちでいたけれど、よかったじゃないの!と彼女は嬉しそうに笑ってくれた。
破滅の力を無くした私の真っ黒だった髪や瞳は、以前のような桃色に戻った。
漆黒に慣れてしまっていたけど、数年たった今では見慣れた物になった。
「ふぇ…ぁあー!!」
腕に抱いている小さな赤子が鳴き声を上げる。
「あら…どうしたの~?」
頭を撫でてあやすと、次第に落ち着いたのか眠りに落ちていく。
紫の髪と赤い瞳を持った男の子…。
そう、彼とその容姿はとても似ていた。