「リリスを返せ…」
デカルトの腕に抱かれているリリスは、顔や服に泥が飛んでおり、それが雨に混ざって汚れてしまっていた。
「…貴様等の元にリリスを返すのは納得がいかないが、今は仕方ない。
風邪でも引かれたらコイツが辛い思いをするだけだ」
スッとリリスを抱く腕が緩められ、すぐさま彼女を俺が抱きかかえ直す。
「お前…何故そこまでリリスの事を…」
不審に思い、訝しげに眉を顰める。
「さぁな…。ただ俺はリリスの苦しむ姿を見て気分が悪いだけだ。
早く連れて行け。少し熱があるようだ」
確かに、リリスの体は少し熱を持ち呼吸が荒い。
本当に熱を出してしまっているようだ。
「早く連れて行ってやれ」
そういい、デカルトは雨に溶けるように姿を消した。

