しばらく走っていると、遠くの森の方に黒い影が見えた。
立ち止まり、その方向にじっと目を凝らす。
「っ?!お前」
「…愚かなやつめ。リリスを探しにでも来たのか?」
紫の髪から雫を滴らせ、その男は俺を睨みながら言う。
蔑むようなデカルトの表情はとても冷たい。
どこか怒りを含んでいるようにも思える。
しばらく二人とも互いを見つめ、その空間に異様な雰囲気が漂っている。
「貴様と居る限り、コイツは辛い思いをするだけだ。所詮貴様もただの人間。コイツの苦しみを理解することなど到底できないだろうな」
その言葉に、不服ながら言葉を飲み込んでしまった。
確かに俺はただの人間。それは重々承知。
その上で俺はリリスに出来る限りの事をしてきた。
しかし、それが本当に彼女の為に…彼女の役になっていたのかは正直自身を持って言えない。
だが、だからといって俺はリリスを手放す気はさらさらない。

