私もそんな奏馬くんに答えたくて、微笑んでみせた。


手を振る勇気はない。


だって
たくさんの女の子が
見ているのだから…………



でも、いいの。


だって……

私だって奏馬くんとちょっとだけ仲良いもん。


そう思ったけど

やっぱり私は君に遠いんだね




「おはよ、奏馬!」


「っはよ」



違う女の子が奏馬くんの腕をとって挨拶した。


それに奏馬くんも
笑顔で答える。



“実緒の好きに呼んで”



あの言葉は

私だけの特別じゃなかった。


きっと、
ほとんどの人が“奏馬”って
呼んでるんだ……