背中。 壱 (更新中)


「…あのさ……今日これからっ…」
「泊まりでしょ?いいよ、おいで。」

私が最後まで言う前に言いたいことを
理解してくれた。
コレがいつものことなんだと思う。

「…うん、そう。朝早く帰るから泊まっていい?」
「別に朝早くなくてもいいよ。どうせお袋さんだろ?」

ダイは私のすべてを分かっているみたい。

「あ、うん。あと20分ぐらいでつくから。」
「分かった。待ってるね」
「うん。」

そう言って短い電話を切った私に
冬の冷たい北風が吹いた。


さむ。って思いながら、とりあえず今日の行き先が決まったので安心した。


「サクラ今日家?」
携帯を片手に持ちながら
低めの声で話し掛けるユウコ。

「ううん、ダイのとこ。」

そう言った私は立ち上がった。
ユウコはそうなんだとだけ言って
他の人のところに行ってしまった。

ダイのとこって言っただけで通じるのはユウコと私が仲良いからなんだな……