それは、何年も何年も前に遡る。 「和花………」 「春様…」 「の、どか……」 「っ…」 「のどか…っ」 布擦れの音が、部屋に響く。 彼女は透明で、触れたら直ぐに消えてしまいそうな声を出す。 その声をもっと聞かせてほしい。 もっと、もっともっと。 聞いていたい。 そして、その柔らかい白磁の肌に触れていたい。 「和花……」 「しゅっ、しゅん、さまっ」 「……和花。愛してる」 「っ。私も、愛して、ます……あっ」 甲高い声を出して、絶え絶えに息を吐く和花。 その姿に愛しさが募る。