冷蔵庫の前へもう一度立ちはだかる。

高鳴る鼓動を手でそっと撫で下ろす。

大丈夫、
あたしならできる。
できる子だ、

昔から要領の良い子だった。

ロールごとぶら下がった
ガムテープに変化はない。

おそるおそる
ガムテープに指を這わせてみる。
何も起こらない。

肝心の部分、
あの部分に

そっと

指先で円を描いてみた。

びくん。

一瞬わたしの体の外側から
何かが迫ってくる様な気配がした。
体には何も付いていない。

誰もいない。

今のは何だったんだ。

ソファで丸くなった猫を一撫でし
心を落ち着かせる。

そしてもう一度

あの部分に

手を伸ばす。

もう大丈夫だ。

今度は中心を押してみる、
本当なら鉄板だから押せないはずが、

なんと柔らかな感触である。

ここまで来たら
もう後ろには下がれない。

これが何なのか、

何者なのか、

確かめなければ。