母親の両親と同居する為、
私は五年間過ごしたこの学校を転校する。

やっと出来た友達ともお別れをして、
やっと慣れてきた先生達ともさようならだ。

大人の事情に子供は振り回される・・・。

涙のお別れ会もしてもらったのだが、
引越し先は車で二十分もしないすぐ側だ。

手紙も何通かしていたが、会おうと思えば小学生でも十分会える距離だった。

しかも転校先は以前居た学校の本校になる。

分校と本校は多少関わりがあり、
知っている友達の1人や2人居てもおかしくはないのだが・・・
この二校、犬猿の仲と言っても過言ではないくらい険悪な仲であった。
その為、私にも友達と言えるような子はいなかった・・・。

私が転入したのは五年生の三学期。
卒業まで一年程しかなかった。
だから、私には友達を作るという気が全然なかった。
もちろん、好きな人が出来るなんて考えもこれっぽっちもなかったのだ。

そんな私が何故長い片思いを始めることになったのか・・・

それはきっと、
そうなる運命であったから・・・。

今はそう考えるほうが自然だと思っている。

私と彼は出会うべきして出会った。

初めてあの笑顔を見た時、
私にはとても不思議で特別な感覚があった。

私達が声を交わすまではもう少し先・・・。