カタオモイ~特別な関係~

『剛史』はクラスのムードメーカー的存在だった。

背は高くなくて、並ぶと同じくらいだ。

真っ黒な短髪をツンツンと立てていて、
女の子の様に真っ白な肌をしていた。

右足を少し引きずりながら、
がに股気味で歩く姿がとても印象的だった。


いつも笑っていて、
転校してきてから一度も怒ったところを見た事はない。

彼の笑い声は人を幸せにする力があると思っていた。
現に私は彼の笑い声に励まされた事があったのだ。


あまり絡んだことはなかったのだが、
不思議と目が合う事が多かった。

目が合うと、
決まって彼は笑顔を見してくれた。


話を交わす事も徐々に増えていった。


そういった、
少し少しの事の積み重ねで私の心は揺れ動き、
いつの間にか自然と目で追う様になった。