Tricksters2ッ



「淳一のことが好きかも……」

「たまたま捕まったからって、惚れられちゃ迷惑なんだよ!」

 
 体を起こすと、抱きついていた藍莉が「きゃっ」と声をあげてベッドに落下した。

「帰る」

「だめー、今日は休みでしょ? デートしましょ」


「お前、男に鎖つけたままデートする気か?」

「まさか」


「だろ? じゃ、無理だ。解放しろ」



「手錠があるから、手錠つけて
あ げ る」



 はい、手錠きた……

 そうだよな? デートには、足に鎖より断然手錠。



「って、どんな新常識だよ! そんな格好で街あるけるかぁ!」



「そうだね。オウチデートもいいけど、せっかくだから街に行こうか!」


 藍莉がまた俺に抱きついてきた。余計なこと言っちまった。


「やめろ! ゼンとデートしてもらえよ!」

「だめー、私、街デートしたことないから淳一がエスコートしてね。よろしくね」


 藍莉が上目使いで俺を見つめる。

 ああ、この表情で相当数の男騙してきたんだろうな。

 自分が可憐で可愛くなれる技量をキチンと身につけていやがる。

 本性は男に手錠つけてデートに連れまわす女なのにな。


「お前、“ヤミ金業者”とどんな関わりがある?」

 藍莉は唇を引き上げて妖気に微笑んだ。コイツ、関係者だな?


「ゼンにどんな恨みがある?」


「教えて欲しかったら、デートして」