「淳一のことが好きかも……」
「たまたま捕まったからって、惚れられちゃ迷惑なんだよ!」
体を起こすと、抱きついていた藍莉が「きゃっ」と声をあげてベッドに落下した。
「帰る」
「だめー、今日は休みでしょ? デートしましょ」
「お前、男に鎖つけたままデートする気か?」
「まさか」
「だろ? じゃ、無理だ。解放しろ」
「手錠があるから、手錠つけて
あ げ る」
はい、手錠きた……
そうだよな? デートには、足に鎖より断然手錠。
「って、どんな新常識だよ! そんな格好で街あるけるかぁ!」
「そうだね。オウチデートもいいけど、せっかくだから街に行こうか!」
藍莉がまた俺に抱きついてきた。余計なこと言っちまった。
「やめろ! ゼンとデートしてもらえよ!」
「だめー、私、街デートしたことないから淳一がエスコートしてね。よろしくね」
藍莉が上目使いで俺を見つめる。
ああ、この表情で相当数の男騙してきたんだろうな。
自分が可憐で可愛くなれる技量をキチンと身につけていやがる。
本性は男に手錠つけてデートに連れまわす女なのにな。
「お前、“ヤミ金業者”とどんな関わりがある?」
藍莉は唇を引き上げて妖気に微笑んだ。コイツ、関係者だな?
「ゼンにどんな恨みがある?」
「教えて欲しかったら、デートして」



