「あのさ、ゼンを誘拐すればいいだろ? なんで、俺なんだよ!」
「だって善太郎は、隙がないだもん。
うちのボディーガードも泣き出しちゃって、“どうしても無理だ”っていうから
“なら、かわりに淳一捕まえきて”ってお願いしたの。こんな早く捕まると思わなかったわ」
悪かったな……隙だらけで!
「でも、お前たち結婚するんだろ? 俺、関係ねーだろ」
「うん、でも……」
藍莉は、俺の胸に頬をつけると首に腕を回してギュッと抱きついてきた。
「善太郎は、カッコいいし頭良さそうだしキスも上手そうだけど。私、淳一の方がタイプっていうかー」
キスはわかんねーだろ! くそ、嫌な気分だ。
俺だって、気失ってなきゃ、それでいて相手が李花ならそれなりにできるんだよ!



