Tricksters2ッ



 はあ、ダメだ。やめた。

 コイツにまともな話し合いは、通用しない。


 部屋の中を見渡す。この前の船とは違うみたいだ。

 白いカーテンがかかった大窓。
 部屋は広くて、花柄のソファーセットにデッカい鏡台、俺が寝かされているベッド。

 静かな場所だ。窓からは、そよ風が吹き込んでくる。


「私の部屋よ。可愛いでしょ?」


 藍莉が首を傾げると、髪が顔にかかる。それを耳にかけて、「ふふふ」と笑い声をあげた。


「どけ、馬鹿。びっくりっぱこ返せよ」

「嫌よ。淳一がくれたものだもの」


 藍莉が体の力を抜いて俺の胸に体を預ける。密着した細い体は俺の上で暇をもてあましている。

 徐々に体に力が戻りはじめる。
 念のため両足をあげて確認してみると、右足にシャランと丁寧に鎖がついている。


 今回、服は着てるのがせめてもの救いだけど、こんな扱いレイプ未遂事件だぜ。