はあ、ダメだ。やめた。
コイツにまともな話し合いは、通用しない。
部屋の中を見渡す。この前の船とは違うみたいだ。
白いカーテンがかかった大窓。
部屋は広くて、花柄のソファーセットにデッカい鏡台、俺が寝かされているベッド。
静かな場所だ。窓からは、そよ風が吹き込んでくる。
「私の部屋よ。可愛いでしょ?」
藍莉が首を傾げると、髪が顔にかかる。それを耳にかけて、「ふふふ」と笑い声をあげた。
「どけ、馬鹿。びっくりっぱこ返せよ」
「嫌よ。淳一がくれたものだもの」
藍莉が体の力を抜いて俺の胸に体を預ける。密着した細い体は俺の上で暇をもてあましている。
徐々に体に力が戻りはじめる。
念のため両足をあげて確認してみると、右足にシャランと丁寧に鎖がついている。
今回、服は着てるのがせめてもの救いだけど、こんな扱いレイプ未遂事件だぜ。



