「い……井上くん?」


「彼女さんに内緒で合コン来てモテモテなんて……しかも、彼女さん裸にエプロンにしてるなんて……」


 井上のますます冷たい視線が俺に突き刺さる。



「ギャーッなになに? 所長代理は、裸にエプロンとかにキュンとしちゃうタイプなんですか?」

「意外ー! でも可愛いー!」

「ほんと、可愛いー!」

「さ、飲んでください。所長代理」


「あー、だから狡い! 席かわってよ!」



 多分、俺の今日の運勢調べたら悪意はないのに他人から誤解される日だ。


 はあ、帰りたい。


 こんなことなら、ゼンと寿司でも食いに行った方がまだマシだ。

 俺の両脇でギャーギャー揉める女子社員。新しいもんが珍しいんだろ。

 ビギナーズラックみたいなもんだ。


 空いていた対面の席に、受付嬢のミエちゃんが座る。

 パツンと切りそろえられた前髪、鋭い眼差し。

「相談があるんだけど」

「相談って?」

 
 女子社員たちは、席を立ち上がり取っ組み合いの喧嘩をはじめた。

 男子社員が慌てて止めに入る。


「ゼン所長のことに決まってるでしょ? 私、勘の悪い男嫌いなの」


 なんていうか、上から目線だよな……

 はい、女王様って言いたくなる。