藍莉だから、あい……

 ないな。最初の方に登録されてそうだけど。



「ユカリー、佐伯部長呼んで」


「わかりました」


 香月 藍莉だから、
 こ……こう、


 ないな。

 携帯画面をスクロールさせていく。


 まさか、俺の番号だけ登録して自分の番号は登録していないとか?


 俺、何やってんだよ。
 最悪。番号きいとけばよかったぜ。


「淳一は、四階の倉庫の整理手伝ってこい」

「……わかったよ」


 ゼンは、冷たくため息をつく。


「俺は、ここで佐伯部長とこのビルの設計図を見直して、爆破阻止の計画を立ててる。何かあったら来い」


「わかったよ……」


 ゼンに背を向けた。だけど思い直して振り返る。





「ゼン」


「はやく行け」



「わかってる。でも、悪かった。責任とるからな」


 
 それ以上、ゼンの顔を見れずに部屋を出た。不甲斐ない自分に泣けてきた。


 なんで、こんなことになっちまったんだろう……