内藤部長は、頭を抱えてうつむく。
いつもはハキハキとした物言いで会議に挑む内藤部長も、今日は絶句している。
ゼンは長い足を組んだまま、渡された資料をジッと見つめていた。
今日でクビだよな……。こういう場合、自分から辞表だした方がいいんだろうな。
いやダメだ。自分でやったことの責任をとってからだ。
2780万か……死ぬ気で働いて、アイツに返さないと……すぐには無理だけどな……
それに皆にどうやって詫びればいいんだろう。
自分の迂闊さに悔やんでも悔やみきれない悔しさが募る。
奥歯が擦り切れるくらい強く噛み締めて、拳を強く握った。
「すみません。俺の責任です。発売前のびっくりっぱこを外部の人間に持ち帰らせました」
会議室は静まり返ったままだ。アイツは、さっきから一言も俺を責めない。
罵倒して殴り飛ばされても文句を言える立場じゃないのに……
その余計な気遣いが、更に悔しい。こんなに悔しい。



