「誰にも渡さないなんて感情が自分にあるとは思わなかった」
「その台詞、そっくりそのまま返すわ」
「もう浮気はしないよ。親父も説得する」
「うん……」
短いキスの雨。
額に頬に鼻に目に……私たち、やっと……
これって、夢じゃない?
「おーい、ゼン。ネクタイ仕上がった……ぞぉおって、うぉっ! 真っ昼間から何やってんだよ!!!」
自分のオフィスでもあったからか、淳一くんは所長室に入る時にノックをしない。
「ああ? 何だよ。邪魔すんなよ。まだ、やってねーよ」
「と、当然だろ! 仕事終わってからにしろよ!」



