結婚式に自分が、どんなドレスを着たいか? そんなこと、考えたことなんてなった。
目の前の、この男には何も期待していない。
浮気なんて日常的だ。その破滅的な異性交遊は、何かへの当て付けみたいなところがある。
それを承知で、私は此処にいる。
此処にいたいなら、何かを期待しちゃ駄目だ。自分が辛くなるだけだから。
「その前に、相手が誰かわかりません。ゼン所長、気がついてます?」
空になったコーヒーカップを持ち上げた。
「ゼン所長のカップは、全部で六種類。その日の所長のネクタイの色や、スーツの柄を見てカップを決めます。
私のドレスの色は相手の男性次第。李花ちゃんは、きっとピンクやイエローのパステルカラーだと思いますよ」
こんなこと、何でもない。そういう顔をしなくちゃいけないのに……



