Tricksters2ッ



 空になったカップをトレイにのせた。ゼン所長の顔色をうかがう。

 彼はとても頑固だから……


「部会まで、一時間あります。仮眠をとってください」


「ああ……」



 口数も少ない彼に、ちょっと目配せして背を向けた。



「ユカリ」

「はい?」


「その窓辺にある鉢どうした?」



「それは、私の部屋で育てていたローズマリーです。花が咲きそうなのに、元気なくなっちゃって……ここなら日当たりがいいし、お世話しやすいかと思って持ってきちゃいました」


「ふーん、相変わらずローズマリーとか女子力高そうなもん育ててるんだ」


「女子力の為に育ててるわけじゃありません!」


 私が頬を膨らますと、ゼン所長は「ぷっ」と吹き出して、ローズマリーの葉を指先で突っついた。


 ローズマリーの香りが所長室に広がる。


 画一的な窓辺に、ゼン所長とローズマリー。最高のコントラストに、目眩がする。


 その洗礼されたスーツ姿にも、襟足にかかる少し長めの後ろ髪も、小さな鉢植えに癒されているような横顔も


 どうして、こんなに好きなんだろう。