────それから、数日後。
最近まで警察に没収されていた俺の愛車で、ばあちゃんちへ向かう。
助手席で李花が雑誌をめくった。
「藍莉さん、すごいねー。女性向けの斬新なドッキリスイーツのお店を始めたんだね!」
「ああ、アイツ逞しいからな……」
「豆腐なのにチョコって、どういうことだろ? 食べてみたいなー」
「気持ち悪……どんなドッキリだよ」
李花は何かに閃いたようにパンと手を叩いた。
「じゅんちゃん、ケーキ屋さんとかは?」
「だから、何でケーキ?」
「李花が食べたいから! ケーキ屋さんやってよー、カフェがくっついてるケーキ屋さんとかどう? 李花ウェイトレスする」
「だから、俺はケーキなんて作れねーし! 柄じゃないし!」
「アハハハ! 確かに、ケーキ作るじゅんちゃん、想像しただけで笑える!」
「ウケてんじゃねーよ!」
冗談言えてるうちはいいけど、世間の就職氷河期の壁は分厚くガッチガチだ。
建設関係を中心に何社か面接受けたけど、どの会社も履歴書見た瞬間に「ご苦労様、帰ってください」って言われる。
派遣や、バイトや、日雇い。
手当たり次第に面接を受けてるのに、まるで手応えがない。
父親になる前に、はやく就職決めないとな。
変な広告の求人募集にも応募したり、かなり冒険もしてるんだけどな。



