Tricksters2ッ



 李花は起き上がると、床に手をついたまま視線を落とした。



「ごめんね、じゅんちゃん」


「謝られると、惨めなんだけど……」



「うん、でも隠しててごめん……。実は赤ちゃんいるの」



 李花が白いフリフリエプロンの下の腹に手を置いた。



「じゅんちゃんの赤ちゃん」






 じゅんちゃん、って誰だっけ?


 ああ、俺か?


 まあ、じゅんちゃんは仮に俺だとして。



 赤ちゃん?



 赤ちゃんってのは、今まで俺の人生において、あまり縁のない単語だ。