ボロボロと涙を流す藍莉。
スキンヘッドがめっちゃ俺を睨む。アイツがアンディか? それともマイクか?
「悔しい。もっと早く出会ってれば、淳一は私のこと好きになったかもしれないのに……っ!」
「どっからくるんだよ。その自信」
ホールには行き交う人が沢山いる。俺たちみたいに正装している人もいれば、旅行バッグぶら下げた人もいる。
藍莉が泣いてるから、ほとんどの人が俺たちをチラ見して通過していく。
「最後の思い出にキスして」
「無理だ。李花に申し訳なくて出来ない」
「悔しい! そういう、真っ直ぐな淳一がもっと好きになっちゃった!」
「そんなこと言われても……ぐわぁー!」
藍莉に飛びかかられて、ホールの壁に頭をガツンと打ちつけながらの短いキス。
薄い唇は、すぐに離れていく。追いかけたりなんかしない。
「さよなら、淳一」
今日はさよなら日和だな。
李花ごめん、挨拶だから……
「元気でな……藍莉」
藍莉は、俺から離れるとボディガードを従えてホテルの出口に向かい颯爽と歩いていく。
最後まで逞しすぎだぜ……触れた唇が少し寂しかったなんて、李花には一生の秘密ができちまった。



