Tricksters2ッ




 ボロボロと涙を流す藍莉。
 スキンヘッドがめっちゃ俺を睨む。アイツがアンディか? それともマイクか?


「悔しい。もっと早く出会ってれば、淳一は私のこと好きになったかもしれないのに……っ!」

「どっからくるんだよ。その自信」


 ホールには行き交う人が沢山いる。俺たちみたいに正装している人もいれば、旅行バッグぶら下げた人もいる。

 藍莉が泣いてるから、ほとんどの人が俺たちをチラ見して通過していく。


「最後の思い出にキスして」


「無理だ。李花に申し訳なくて出来ない」



「悔しい! そういう、真っ直ぐな淳一がもっと好きになっちゃった!」


「そんなこと言われても……ぐわぁー!」



 藍莉に飛びかかられて、ホールの壁に頭をガツンと打ちつけながらの短いキス。


 薄い唇は、すぐに離れていく。追いかけたりなんかしない。



「さよなら、淳一」


 今日はさよなら日和だな。

 李花ごめん、挨拶だから……



「元気でな……藍莉」


 
 藍莉は、俺から離れるとボディガードを従えてホテルの出口に向かい颯爽と歩いていく。


 最後まで逞しすぎだぜ……触れた唇が少し寂しかったなんて、李花には一生の秘密ができちまった。